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ファッション販売2000年7月号『最新注目SCに見るスーパーストアSPA業態の実力比較』(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔新設大型SCにスーパーストア業態が勢揃い4月1日にオープンした“アクアシティお台場”でも、準核のトイザらス(987.9坪)やコムサ・イズム&モノ・コムサ(281.8坪)、GAP&GAPKIDS(265.2坪)を始め、エディ・バウアー、ネクスト、Jクルー、ブルックス・ブラザーズ等の大型店を集積している。 郊外フリースタンディングで成長して来たユニクロとライトオンもSC出店を加速。港北東急SCでは既設のGAP&GAPKIDSに3月11日にユニクロが加わり、6月24日にはライトオンが開店してジーンズカジュアルのスーパーストア御三家が揃う事になる。 百貨店インショップの過大なコスト負担に苦しむアパレル系SPAが大型業態を開発してコスト負担の軽いSCに活路を求めるのは不可避の選択だし、ユニクロやライトオンにとってSCはフリースタンディング店とは桁違いの販売効率が期待出来るチャネルだ。 一方でSCアンカーの百貨店、量販店の販売効率は依然として低下を続けており、商圏拡張力は年毎に弱まっている。シネコンやアミューズメント施設等でエンターテイメント性を強化して集客するSCも多いが、物販に結びついているかと言えば極めて疑問。結局は集客力の高さが売上に直結するスーパーストアに頼らざるを得ないのが実情だ。テナント/デベロッパー双方の利害の一致が、SCモールのスーパーストア集積を加速させているのだ。 スーパーストア三強の実力既に有力SCではこれら業態の直接対決が始まっているが、三強とa.v.v(76店、うちSCテナント20店)を除けばチェーン化以前の開発過程にある業態が大半。品揃えやVMDはもちろん、ストア・オペレーション、サプライ革新によるバリュー訴求等、三強との格差は大きい。まずは現状、大きくリードしているファミリートータル・スーパーストア三強の最新動向をまとめてみた。 ●ユニクロ 99年秋以降、臨界点に達して爆発的な急成長が続き、カジュアル市場の覇権を握ったばかりか、日本の衣料品価格を一変させてしまった。2000年2月中間決算は78.8%の増収、経常利益高は4倍増。既存店売上もフリース人気で盛り上がった昨冬よりさらに加速し、2月度が89.3%増、3月度も84.7%増、四月も101.7%増と破竹の勢い。2000年8月期の売上高は75.5%増の1950億円、経常利益高は2.9倍増の412億円に上方修正され、達成されれば経常利益率は21.1%まで上昇する。翌2001年8月期は売上高3000億円、経常利益高はイトーヨーカ堂を上回る600億円を見込んでいる。 4月末時点の総店舗数は429店(FC12店を含む)、うちSCテナント店は27店となった。注目されたGAPとの激突は港北東急SCでの緒戦を見る限り、ユニクロが圧勝したようで、3月度は月坪効率で5倍もの大差が開いたと聞く(ユニクロは3月11日オープンのため、月坪換算)。ユニクロが大挙出店した都心部では割高感からGAPが大量のマークダウンに追い詰められており、もはや勝負あった感が強い。6月24日にはライトオンも同SCに開店するから、秋までには三者の実力がはっきりと数字に現われる。 99年9月にオープンしたイオン倉敷SCではライトオンと競合しているが、FC店ながら3月度までの累計坪効率は3割強、ライトオンを上回っている。上げ潮に乗ったユニクロにはGAPもライトオンも歯がたたないというのが実情のようだ。 予想以上の売上増で消化率もロットも向上して生産効率が飛躍的に良くなり、それがさらなるコストダウンと品質向上をもたらしているというから、もはや誰もユニクロの独走を止められない状況だ。恐らくは自らの急速な多店化で飽和点に達する2〜3年先まで(2002年秋頃か)、破竹の進撃にブレーキがかかることはないだろう。 ●GAP 2000年春はモザイクモールやアクアシティお台場等、9カ所に17店を出店し、4月末時点の国内店舗数は36カ所68店、うちSCテナント店は9カ所18店となった。2001年1月期の国内売上は、平均的な販売効率から推定して250億円を突破したと見られる。 99年春の新店の平均売場面積は、GAPが約180坪、GAPKIDSが約110坪だが、原宿フラッグショップは713坪と超巨大。日本においてもコンセプチュアルなスーパーストアとダイナミックなキャンペーンを展開し、ライフスタイルの共感とバリュープライスでマーケットに大きなインパクトを与えている。デベロッパーからの出店要請も相次いでおり、2000年中の100店展開を視野に入れている。 米国では3月度、昨年後半から減速気味だったGAPのみならずOLD NAVYまでも既存店売上が2ケタ減と落ち込んだが、日本でもここに来て急激な変調が見られる。店頭を見る限りマークダウン商品が急増し、プロパー消化率が大巾に低下していると推測されるのだ。 キャンペーン商品が期待倒れに終わったことも要因のひとつだが、何より首都圏で増えてきたユニクロとの競合で割高感が表面化したことが響いている。これまでの好調な販売に気を許して、米国価格の三割高という利益優先の価格政策に走ったつけが一気に噴き出したと言えよう。このままではデベロッパーの優遇条件も急速に悪化せざるをえないから、出店計画も狂ってくる。計画通りの拡張を実現するには、今秋から米国価格に訂正するしか方法はないだろう。 それだけではユニクロの進撃にブレーキを掛けられないから、OLD NAVYを米国価格で至急に投入する必要がある。このままユニクロの快進撃が続けば海外進出計画が早まり、英仏市場で守勢に追い込まれるどころか、やがては米国本土の市場を食い荒らされ、将来の巨大市場たる中国まで失う事になりかねない。ここは利益度外視で、ユニクロを水際で叩き潰しておくしかない。ユニクロ対策は、もはやジャパン社の次元をとっくに超えているのだ。 ●コムサ・イズム 92年9月の1号店オープンからほぼ7年半が経過し、4月末時点の直営店舗数は193店に達している。新店は150〜250坪級にスーパーストア化し、既存店を含めた平均売場面積もほぼ100坪まで拡大。4月にオープンした町田グランベリーモール店は、モノ・コムサ、カフェ・コムサを含んで約500坪に達している。2001年2月に控えたSCの出店空白期間入りまでに80店以上の出店を計画しており、出店加速と大型化で99年10月期の年商328億円から3年後の2002年10月期には1000億円の大台に迫ると推計される。 SCテナント店は4月末時点で122店に達しており、SCにおける店舗布石はユニクロ、GAPを大きくリードしている。当初の地方百貨店から郊外SCという出店立地の変化と急激な大型化へのMD対応の遅れで、98年度には平均月坪効率が20万円を切るまで低下したが、99年度からMDとサプライ体制が追い付いて販売効率が大幅な上昇に転じ、2000年に入っても伸び続けている。 ファミリーMDの拡充やコムサ・ウォーク等のニューラインの投入、カラーとサイズの拡張で顧客の幅も一段と広がり、素材の集約とMDの大型化でコストを圧縮して価格も下げてきているから、大型化してもさらなる販売効率の向上が期待出来る。SCの大小に関わらず最も安定した売上が期待できるベストテナントとして、デベロッパーの評価は極めて高い。 アメリカンテイストのジーニングカジュアルに立脚するユニクロ、GAPに対して、ナチュラルなモード系ベーシックカジュアルに立脚するコムサ・イズムは独自のポジションにあり、両者と直接には競合しないが、値頃感では競争を免れない。カラフルになったこともあってファミリーカジュアルやキッズでは既に競合状態にあると見るべきで、今後の価格政策が注目される。 三強のMDパワーを比較するそこで、ユニクロ、GAP、コムサ・イズム三者の現状のSKU構成と素材集約度を店舗の実地調査を元に比較してみた(調査店舗はユニクロが池袋サンシャイン店、GAPが新宿フラッグス店、コムサ・イズムはららぽーと3店)。 ●型当たりSKU数 売場面積はユニクロが226坪、GAPは今回調査したメンズ/レディスに限れば217坪、コムサ・イズムは後方スペースを除けば約250坪。メンズ/レディス衣料の型数はユニクロが101型、GAPは100型とユニクロとほとんど同じで、コムサ・イズムは142型と前二者を40型強上回る。メンズ/レディス衣料のSKU数はユニクロが2336SKU、GAPは2008SKUとユニクロより328SKU少なく、コムサ・イズムは951SKUと前二者の半分以下。 型当たりSKU数を算出すれば、ユニクロが@23.1SKUと最大で、GAPが@20.1SKU、コムサ・イズムは6.7SKUと三店中、最少。但し、コムサ・イズムもキッズに限れば@36.9SKUと、ユニクロの@30.9SKUを上回る。コムサ・イズムはキッズやファミリーのMDスケールの大きさに比してメンズ、レディスのMDが格段に小造りで、ファミリーやキッズはデジタルMDで面の訴求、メンズやレディスは実質アナログMDをデジタルVMDに見せて流動的に運用と、割り切ったMDが組まれている。 ●部門別素材当たり型数/SKU数 部門毎の素材数は、ユニクロではメンズが26素材と最多で、レディスが20素材、キッズが17素材。GAPではメンズが38素材、レディスが32素材。コムサ・イズムではレディスが24素材と最多で、以下、メンズが13素材、キッズが10素材、ベビーが6素材、ユニセックスが3素材と続き、36型を展開しているファミリーは2素材に集約されている。 部門別の素材当り型数は、ユニクロではメンズ@2.5型、レディス@1.8型、キッズは1素材1型。GAPではメンズ@1.3型、レディスは@1.7型とメンズを上回る。ユニクロと較べればレディスはほとんど変わらないが、メンズはほぼ半分に留まる。コムサ・イズムはファミリーが@18.0型と突出し、以下、ベビー@4.0型、レディス@3.0型、メンズ@2.8型、ユニセックス@2.7型、キッズ@2.6型。メンズ、レディスはいずれもGAP、ユニクロを上回り、キッズもユニクロを上回る。 部門別の素材当りSKU数は、ユニクロではメンズが@59.2SKU、レディスが@23.4SKU、キッズは@30.9SKU。GAPではメンズが@36.9SKU、レディスは@29.2SKUとメンズの8掛け。レディスはユニクロを若干、上回るが、メンズは大きく下回る。コムサ・イズムはファミリーが@465.0SKUと突出し、キッズも@68.4SKUとユニクロの倍以上。以下、ベビーが@39.7SKU、ユニセックスが@28.0SKUと続き、レディスは@18.2SKU、メンズは@16.9SKUと、型当りSKU数の差でGAP、ユニクロを大きく下回る。 ●素材集約度 GAPではメンズ、レディス間の同一素材展開がほとんど見られないのに対して、ユニクロでは同一素材の複数部門展開がかなり見られる。素材別に展開している部門を挙げてみたが、ナイロンや綿デニム等、メンズ、レディス、キッズ総てで展開している素材が12素材に達し、メンズ、レディス併用が3素材、メンズ、キッズ併用が4素材で、1部門しか展開していない素材は4割の13素材に留まる。コムサ・イズムでは30素材は1部門展開だが、基幹素材の綿天竺はメンズからベビーまで6部門総てで展開している他、5部門展開が1素材、4部門展開が2素材、3部門展開が1素材、2部門展開が3素材ある。素材当り展開部門数はユニクロが1.97、コムサ・イズムが1.53、GAPはメンズ、レディスのみだが1.00に限りなく近いと考えられる。 部門間で重複する素材はひとつと数えた総素材数は、ユニクロが32素材。GAPは70素材(メンズ、レディスのみ)とユニクロの倍以上。コムサ・イズムは38素材とユニクロと較べれば6素材多いが、GAPに較べれば半分強に集約されている。素材当り型数はユニクロが@3.7型。GAPは@1.4型と3店中、最も少ない。コムサ・イズムは@5.4型と3店中、最大で、GAPの4倍近く、ユニクロと較べても1.5倍近い。 素材当りSKU数はユニクロは@79.2SKUと3店中、最大。GAPは@33.4SKUとユニクロの4割強に留まる。コムサ・イズムは@68.2SKUとGAPの2倍。素材当り型数はユニクロを大きく上回るが、型当りSKU数の差(ユニクロ@18.3SKU、コムサ・イズム@12.7SKU)で素材当りSKU数は下回る。 素材と型数を絞り込んでSKUを広げコストと補給力を追及するユニクロ、素材を集約してコストと補給力を追及する一方で型数でバラエテイも訴求するコムサ・イズムに対して、ギャップは型数こそ絞り込まれているものの素材の分散が激しく、コストと補給力の弱さは否めない。 調達体制の戦略的構築というSPAの要となる分野において、コムサ・イズムとユニクロはコンセプトやMD編成のスタンスは異なるものの確立の領域に入りつつある一方、GAPは一時は確立したそれを急激に崩しつつある。MD面での三者の優劣はこの結果から明らかで、今後の勝敗が十分に予測される。 三強のVMDとストア・エンバイロメントを比較するGAPはマニュアルの指示精度の高さもあってフェイスの配列精度はまずまずだが、什器システムの統一度には乱れがある。壁面什器では120センチ規格のはずのガチャのピッチが一部で異なっているし、島面什器の使い方は統一性を欠いている。色々と工夫しすぎて標準が崩れてきたという状況に見える。 ユニクロの都心店はロードサイド店と異なり、物件の制約もあってか180センチ規格のはずの壁面什器のピッチが一部で乱れているし、島面什器も規格が固まっていない。結果としてフェイスの配列はかなり混乱しており、三者の中では一番出鱈目になっている。改革途上ということなのだろうが、VMDの原点に対する安易な姿勢は勢いが衰えた時、少なからぬ災いをもたらすだろう。 MDと什器ユニットのレイアウトでもコムサ・イズムが突出して優れており、カテゴリーの区分が解りやすく並べられているし、規格什器と大テーブルやフォーカルウォールの組み合わせ方も秀逸だ。GAPはマニュアル化されたキーアイテム・サーキット型のレイアウトが確立されていたはずだが、この一年ほどの間に悲しいほど崩してしまった。単品訴求が多くなり、定型コーディネイトのサーキットは小型化した印象が強い。ユニクロは単純な単品集積で、何のテクニックも存在しない。せっかくの大型MDを訴求しきれていないのが実情だか、一品への自信がVMDの軽視をもたらしているのだろう。 照明でもコムサ・イズムが突出して優れており、4200Kのベース照明、3000Kのスポット、4200Kのウォールウォッシャーを基本に、フォーカルポイントではふんだんにCDMRが使われている。一時はコムサ・イズムのトレードマークだった3000Kのペンダントはカラー展開の導入とともに廃止されたが、適確な判断と言えよう。 GAPは4200Kのベース照明、3000Kのスポットまではコムサ・イズムと同様だが(ZARAも同様)、フォーカルポイントや大テーブルへのCDMRは未だ導入されておらず、抑揚を欠く量販店的な照明の域を出ていない。あの価格水準なら、もっと照明は工夫されるべきだろう。 ユニクロはロードサイド時代からのレトロな2800Kの放電灯と3000Kのスポットという時代ズレした照明のままで、ビンテージぽくは見えるがカラー展開には向いていない。最近の新店では3600Kの蛍光灯にベースを切り替えてきているが、CDMRなどのフォーカルアップ照明は導入されておらず、まだ倉庫型のエンバイロメントを残している。照明は今日の商品と合っておらず技術的にも劣悪な状態だが、売れているのだから何でもいいのかも知れない。 このように技術的にはコムサ・イズムが突出しており、MDの構造を最も適確に表現しているし、明るさも親しみも広がり感も十分に感じられる。ギャップはすべての点で進化が止まっており、VMDはMDとともに退化さえしている。ユニクロはメジャーに化けたにもかかわらずマイナーだった時代のエンバイロメントを色濃く残しており、今日のMDを表現できていない。 * * * * * * VMDとはMDの構造とイメージを最適に表現してこそ成果が得られるものであり、MDの構造を崩せばVMDも崩れてしまう。まずはMDの構造とそれを支えるサプライ体制が戦略的に仕組まれることが、スーパーストア型SPAの生命線なのだ。そのように見るなら、三強の戦いの行方も追従する新手業態の正否も読めるというものだ。 |
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| 2000年 6月号 | 『SC出店環境の激変にかく対策せよ』 |
| 2000年 5月号 | 『ファイブフォックスに学ぶドメイン転換戦略』 |
| 2000年 3月号 | 『勝ち組ワールドの転機』 |
| 2000年 2月号 | 『“ユニクロ”vs“GAP”の全面対決が招く淘汰の日』 |