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ファッション販売2002年8月号 『セレクトショップに学ぶFBのルネサンス』(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔時代の主役に躍り出たセレクトショップコストメリット優先で調達背景を効率的に絞り込み、面が平板になってしまっていた工業的SPAやナショナルチェーンはこのマーケットの一変に対応出来ず、手のかかった非効率な調達で多様な面の手の込んだ商品を揃えるセレクトショップが時代の主役に躍り出たのだ。「ユナイテッドアローズ」や「ビームス」の復調も新手のセレクトショップの加速も、これらのタイミングとほぼ一致している。 多彩に拡がるセレクトショップ風ビジネスいったい、これらの何処までがセレクトショップとして、あるいはセレクト的な魅力を持った業態としてマーケットに評価されるのか。その答を探るにはセレクトショップの原点に遡る一方、マーケットの嗜好変化から柔軟に多様な可能性を考える視点も必要だ。 セレクトショップの原点は世界中から個性の強いブランドやレアな商品を足で集めて独自のフォーカスで編集するインポートセレクト店であったが、今日ではファクトリー別注、それらのスペックを移植した国内ブランドやオリジナル、ユーズドやヴィンテージまで加え、独自のリミックスを主張する店を広くセレクトショップと呼ぶようになっている(セレクト大手五家等、主流の大半が含まれる)。ユーズド編集やヴィンテージ編集の店がオリジナルを軸にリミックス構成を組むようになったものもセレクトショップの範疇に入れて良いだろう(アメリカン・ラグシーやキリワッチ、パラビオン等)。 加えて、本来は統一した面を主張するブランドショップの中からも、リミックス企画やセレクト商品を加えてセレクトショップ的なコントラストを訴求するケースが急増している(エポカ・ザ・ショップ等)。その先鋭は、オリジナルブランドが大半でありながら計算されたリミックスでセレクトショップに見せてしまう、自社マルチブランドミックス店やリミックスMDブランドであろう。この面ではジュングループのVISやロペ・ピクニックが突出している。セレクトショップを謳いながらもトレンドを追ったオリジナル商品の比率が高い、セレクト風トレンディミックスSPAも急速にメジャー化している(ワールド系、サンエー系等)。 これら本流、亜流を含めて評価するにはまず、セレクトショップの魅力とは何かを追求しなくてはならない。 リミックスMDと面揃えの妙クラストのキャラが薄味だとトレンドのチーズばかりが鼻について安っぽくなってしまうし(トレンディミックスSPAに多い)、逆にクラストのキャラが強すぎてトッピングが埋没してしまうとコントラストが目立たなくなる(メーカー発のセレクトショップやリミックスMD店に多い)。イメージのチーズはダブル、トリプルに重ねたり、ずらしたりもする(ジャーナル・スタンダード等)。 トッピングは二つづつ組み合わせてコントラストするのが定石だが、対極的に組むかハーモニックに組むかでショップのキャラが決まってしまう。一般にヤングほど対極性が強くキャリアほどハーモニー性が強いが、同じ世代なら日本の方が対極志向が強く欧米の方がハーモニー志向が強い(マップを参照されたい)。日本ではメーカー発を除いてハーモニー型の成功例は極めて限られるから、ストリートではよほどコントラストの効いた歌舞くスタイリングが求められているのであろう。 スパイスを効かせるとリミックスが複雑になって“外し”“崩し”の巾が拡がるが、マニアックな顧客に片寄るリスクは否めない。 これらリミックスの結果、各アイテム毎に様々な面が揃う。面とは商品の総合的な仕上がり感で、素材や後加工、裏始末やパターン等による表面感や量感、物性感等が総合された印象である。キレイ目、汚な目、重目、軽目、堅目、柔らか目、モッサリ、シャープ、和む、等など限り無い。これら様々な面の商品をコーディネイトすると、限り無く多彩なコントラストを求める事が出来る。すなわち、店からの提案も顧客の選択も多彩な編集や“外し”“崩し”が可能となるのだ。 もちろん、リミックスは一品の中にも発揮される。コレクションブランドやファクトリーブランドからのセレクトはもちろん、別注品やオリジナルでも、素材と後加工、ディティールやパターン、裏始末で濃厚にリミックスを重ねた商品はセレクトショップならではの醍醐味だ。もちろん、昨今では常識的な後加工や定番の別注テクなどは安手のカジュアル商品にまで蔓延しているから、素材にも後加工にもディティールにも相当の仕込みが欠かせない。ちょっと手を抜けば顧客に見抜かれてしまうのが実情だ。 セレクトショップのリミックスは全店共通ではない。ナショナルチェーンとは違って、有力チェーンでもひとつひとつの店がストリートの顧客層に特化しているから、微妙に品揃えとリミックスが異なっている。チェーンにもよるが、全店共通品番は半数から七割止まりと言われている。このような立地の顧客との交信性も、セレクトショップの重要な特徴だ。 和める手工業的VMDの韻律店舗環境はコンセプトで異なるが、主流を占めるナチュラル/ワーク/トラッド系では古びた木材やレンガをベースにアンティーク什器、白熱球系の温かい点照明ミックスの和める空間が共通している。モダン/シック/エレガンス系では内装は多少モダンになるが、ワンポイントのアンティーク什器やシャンデリア、白熱球系の温かい点照明ミックスは変わらない。 陳列は、リミックス・コーディネイトのルック回転からピークは定形コーディネイトの面展開へと変化していく主ウォール(一段または二段)、リミックス・スタイリングの“外し”“崩し”をフォーカスするT字やシングルハンガーとトルソー、単品面展開のテーブルや棚什器(定形コーディネイトの畳みルック回転も可)等から構成されるが、SPAと根本的に異なるのが補給とフォルム構成の概念だ。 SPAでは同一商品を同一フェイスに補充するという台帳型の概念が基本だが(実際は同一素材のデザイン/後加工違い商品のトコロテン補給が多い)、鮮度と希少性を売るセレクトショップでは定形コーディネイトのトコロテン補給(フェイスの配列パターンが同じで商品の面が異なる)、リミックスを変えたリフレッシュを訴求し易いルック回転配列が基本となる。ルックをフォーカスするT字やシングルにしても、SPAはモノ・コーディネイトのカラー回転やディティール回転がほとんどだが、セレクトショップでは“外し”“崩し”を効かせたリミックスのルック回転を訴求する。 大きく異なるのが陳列フォルム構成で、SPAでは建築的なリピテーション(繰り返し)を基本として工業部品を配列したような規律感が売場のテンションを高めるが、セレクトショップでは詩の韻律のように崩したリピテーションを基本に和める空間を構成している。工業的リピテーションの緊張感と手工業的韻律の和み感、あるいはモダンとポストモダンと対比すればよいのだろうか。 セレクトショップの魅力の本質要は手間暇かけて人が研鑽し、技と頭脳を持った現場が顧客と対等に張り合っていく、人間臭い手工業的な事業体質なのだ。それゆえに、世紀が替わってコストカットとデフレのグローバルスタンダードなビジネスモデル経営、サプライ効率至上で絞り込んだ平板な面を金型に押し込んだようにVMD展開するSPAが疎まれた時、若者の気持ちを一気に捉えてしまったのではなかろうか。 セレクトショップはFBのルネサンスだ |
![]() ※誌名のないバックナンバーは「ファッション販売」です。 | |
| 『メガ企業に化ける“しまむら”』2002年7月号 | |
| 『2002秋冬トレンド総括とリミックスMD提案』2002年7月号 | |
| 『今春の百貨店リモデルを総括する』2002年6月号 | |
| 『ベイクルーズの魅力と強さの源泉を探る』2002年6月号 | |
| 『ユニクロの大失速に何を学ぶか』2002年4月号 | |
| 『2002年のビジネストレンド』2002年3月号 | |
| 『PB開発の成功条件』2002年2月号 | |
| 『専門店V字回復の構図』2002年1月号 | |
| 『付加価値型SB戦略でV字回復のポイント』2002年1月号 | |
| 『ピカソ一号店に見るドンキの可能性』2001年12月号「商業界」 | |
| 『無印良品の復活は何時か』2001年12月号 | |
| 『価格破壊第三波の旗手、ダイソーはバラエティストアを超える』2001年11月号「商業界」 | |
| 『台頭する新世代専門店の本質』2001年11月号 | |
| 『SCの明暗を分ける要件・・・イオンSCと他量販店系SCの差』2001年10月号「商業界」 | |
| 『ファッション・バラエティストアを開発せよ』2001年10月号 | |
| 『大型専門店導入のキーポイント』2001年9月号「URERU」 | |
| 『小島健輔の百貨店ゼネラルマーチャンダイザー再生論』2001年7月号「販売革新」短期連載-最終回 | |
| 『アベイルはポストSPAの星となれるか』2001年9月号 | |