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小島健輔の最新論文

ファッション販売11月号
小島健輔の経営塾11
『‘だれでもSPA’時代の成功要件』
(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔


 商社系やテキスタイルコンバーター系から企画会社系までOEM業者(AMS)が充実した御陰で、素材背景や生産背景、仕様開発に精通していなくても、それこそ‘だれでもSPA’という時代となったが、それだけにSPAとして成功する要件も変わって来たのではないか。開発・生産機能がいくらでもアウト・ソーシング出来る分、店頭のMD展開と運用に成功要件が集中しているように見受けられるのだ。

開発・生産のアウト・ソーシング

 企画・開発組織を抱えずにSPAとして成功している小売企業も多いが、その多くはフル・サービスの商社系を活用している。大手商社系はさすがに取引きロットが大きいが、専門商社系なら中小チェーンでも十分に取り組める。
 フル・サービスとは企画・仕様開発から素資材調達、生産手配・管理、検品・仕分け・物流加工まで総べてをカバーするもので、発注側はイメージ資料やサンプルで企画意図と納期・販売価格を伝え、上がって来たサンプルを修正(最初は3〜4回、慣れれば1〜2回)して発注すればよい。業者の企画・開発機能が手薄だったり差別化を図りたかったら間に企画会社を入れるケースもあるが、きちんと要望を伝えればOEM業者の方で適切な企画チームを組んでくれる。
 こんなおんぶにだっこなやり方は素人っぽい中小小売業に限られると思いがちだが、実は超が付く大手優良企業でも主流の取り組み方なのだ。店頭での商品展開の流れを最優先すれば、企画・開発・生産機能はアウトソーシングした方がプロセスがスムースになるというのが彼等の経営判断なのであろう。
 このようなフル・アウトソーシングが成り立つのは後加工/付加加工で差別化出来るカジュアル商品であって、カッチリ仕上げのクロージングとなると発注側が素材開発やパターン・メーキングに深く関わらざるを得ない。取り組みだけ見るとフル・アウトソーシングでも、実態は発注側がパターンを開発・管理しているケースも多いようだ。
 発注側が企画・開発を行って生産以降をアウトソーシングするケースもメーカーや一部のセレクトショップで見られるが、企画・開発の組織を抱える必要が在り、その固定費負担のみならず、ピーク時の処理能力不足から店頭展開のスケジュールがズレ込むといった弊害も指摘される。外部の企画・開発機能を活用するにしても直接の管理が必要で、発注側のスケジュールを押し付け切るのは難しい。
 固定費やスケジュール・ロスまで考えれば両者のコストは大差ないから、余程ものづくりにこだわるのでない限り、フル・サービスを活用して店頭展開をスケジュール通りに回すのが正解だと思う。イメージ資料やサンプルで企画意図を伝えるといった稚拙な方法でも、短射程(8週程度まで)なら店頭の流れを実感した者が企画した方が命中精度は高い。外部企画機能が活きるのは中長射程(12週以上)に限られよう。
 このように見て行くと、企画というのは決して専門知識や背景が不可欠な訳ではないと解る。むしろ、店頭の動きと顧客の好みに精通している事が大切なのだ。開発・生産はアウトソーシングすればよく、SPAの成否を分ける要件ではない。では、何がSPAの成功要件と言えるのだろうか。
 
品揃えのストーリーを強行実現する

 余程の規模で価格を訴求するかこだわりの物づくりを訴求するのでない限り、AMSが普及した今日では生産面はSPAの成否を分けるものではなくなった。工場発のファクトリーSPAは仕掛けの大小はともかく、別の価値観に立つビジネスモデルと位置付けるべきであろう。SPAの成功要件は、自らの顧客を見て最適の品揃えをストーリーに組むMD企画力、そのストーリーを強行実現して行くプロセス管理力と在庫編集・陳列運用力(店間移動やマークダウンも含む)なのだ。
 最適な品揃えストーリーを仕組むには生産面のしがらみは足枷だからアウトソーシングに徹し、スケジュール通りに事を進めるべくプロセス管理を徹底することだ。サンプルチェックを重ねてスケジュールを崩すぐらいなら、AMSを信じて見切り発車させる。それほど、店頭展開のスケジュールは重要なのだ。
 予定通り商品が投入されても見込み通り消化が進むとは限らない。足が速すぎて欠品する事もあるだろうし(店間移動が活きる)、遅々として消化が進まない事もあるだろう。それでも品揃えのストーリーは計画通り流していかなければならないし、予定の商品回転を確保しないと営業キャッシュフローも目減りしてしまう。そこで活用されるのがストーリーを強制実行していく在庫編集・陳列運用なのだ。
 売れなければ売れるように編集や陳列を組み直す。売れ筋や新鮮アイテムと組んで死に筋や不鮮アイテムを消化ドライブする。新鮮カラーを軸に色配列を組み直したり、新鮮アイテムを軸にルックを組み直す。少ない新鮮アイテムを拡張陳列したり不鮮アイテムを間引きしたりしてシーズンを強制シフトする。店間移動やマークダウンも駆使して在庫の流れを加速させる。果ては店内の照明球を替えて一気にシーズン感を変えてしまう。売れる仕掛けは何でも在りなのだ。
 もし、このような在庫編集・陳列運用力に自信があれば、生産はアウトソーシングに徹して理想通りのMD展開を仕掛ける事が出来る。それこそがSPAの成功要件なのではないか。売れる在庫編集・陳列運用技術は体系的に確立されており、当社が10月12日に開催する「即時売上向上ショップ運営ゼミ」でビジュアルに学ぶ事が出来る。



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