home
小島健輔の最新論文

オリジナル提言

『2010年の経営課題』

(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔

 リーマンショックから一巡しても単価ダウンは止まらず売上不振も2周目に入っていますが、苦戦を不況のせいばかりには出来ません。デジタル世代の退化萎縮する等身大消費スタイルがすっかり定着し、レイヤード化の急進やファストファッションのメジャー化で衣服が使い捨て消費材に変質した事も大きな要因と思われます。加えて見過ごせないのは、衣料供給の96.3%を占める輸入品単価が購入単価以上に下落している事です。急速な単価ダウンは調達コスト低下が招く必然であり、ごく自然な帰結と見るしかありません。中国からベトナムやタイ、バングラデシュなどさらなる低コスト生産圏へのシフト、感性と価格のグローバル平準化という必然を考えても、衣料品の価格はまだまだ下がると覚悟すべきでしょう。
 さらなる単価ダウンが避けられない2010年、ファッションビジネスはどう活路を開くべきでしょうか。単価ダウンが売上減少に直結するまま、コストを切り詰め在庫を圧縮し不振店舗を閉鎖して縮小均衡を続ける訳にはいきません。顧客を限定するクラスターマーケティング(「誰に何を」という手法)を脱し、広範な新規顧客を取り込むゴールデンアローマーケティング(突出したコンセプトやアイテムで広範な顧客を串刺す)に転換するとともに、調達のコストとスピードを一新して売上と収益を飛躍的に伸ばすべきではありませんか。
 調達コスト圧縮は低コスト生産地への移転、調達スピード加速はODMによって容易に実現出来ます。供給業界の体制は急速に低コスト/高スピードに動いており、誰もがその波に乗ろうと思えば乗れる情況なのです。逸早く安い速い調達背景に乗り換えた者が市場をリードする、決断と行動のスピードが問われる局面と言えましょう。但し、‘安い’‘速い’に‘味が濃い’が加わらないと値崩れに巻き込まれ、顧客も離れてしまいます。メーカーの味を活かしたODMか、自ら生産ラインに入って味を決める自社開発か、どちらかに徹しないとマーケットは受け入れません。中途半端な商社OEM依存からは一刻も早く脱却すべきなのです。
 店舗展開においても、衰退チャネルから成長チャネルへのドメイン移動に加え、店舗網の集約拠点化が急がれます。顧客離れが急進する百貨店や商圏縮小が著しい負け組SCに留まっていては売上も収益も回復が望めませんから、駅ビルや勝ち組SCへ店舗をシフトし、コストが低く急成長するネット販売に注力するのは当然の戦略です。平均的な店舗を多数展開しては販売水位の低下が大量の不採算店を生んで収益低下に直結してしまいますが、強力かつ相対コストの低い拠点大型店、とりわけ好立地の路面店に集約すれば、圧倒的な販売力で売上も消化回転もブランディングも高まリ、全体収益が大きく改善されます。店舗展開の再編集約と並行して各店配分〜店間移動の精度とロジックを一新しVMDとの連動を仕組めば、回転消化も飛躍的に高まるでしょう。
 2010年はデフレが続く中で縮小均衡を脱しリベンジに転ずる年としなければなりません。『服を変え、常識を変え、世界を変える』と燃える柳井さんではありませんが、『商品を変え、店舗を変え、現状を変える』決意が不可欠だと思います。




コラム“FBへの提案”『退化する消費』繊研新聞2009年11月5日付掲載
上陸1年ファストファッション総括『ファストSPAの覇者は誰か』販売革新2009年11月号掲載
『単価ダウンに耐える低コスト/高スピード体質に再生せよ』繊研新聞2009年10月15日付掲載 第104回全国有力SCテナント調査2009年夏商戦(5〜7月)
『いま、なぜガールズプロデューサーなの?』WWDジャパン2009年9月14日号掲載
『ブランド再生へのルービックキューブ』繊研新聞コラム2009年8月24日/25日掲載
特集GMSの衣料品改革『企業最適の縮小スパイラルを脱出せよ!』販売革新2009年8月号掲載
『ファッション業界のこれから』ファッション販売2009年9月号掲載
『SPAから学ぶ事』チェーンストアエイジ2009年6月15日号掲載
『ローカルチェーン成長の秘訣』ファッション販売2009年8月号掲載
提言『ユニクロに学んではいけない!』繊研新聞2009年4月6日付掲載
『ピンチはチャンス!!』繊研新聞2009年3月31日付掲載 第102回全国有力SCテナント調査2008年冬商戦(11〜1月)
『低コストSCと二軍級チェーンの時代が来た』販売革新2009年4月号
『売上低迷でも増益出来るテクニカルソリューション』販売革新2009年2月号
『百貨店に決断の刻が迫る』繊研新聞2009年1月6日付掲載 第101回全国有力SCテナント調査2008秋商戦(8〜10月)
『SC出店の最新環境』商業界2009年1月号
『チェーストアは“国民服ブランド”を目指せ』販売革新2008年11月号
『派手なプロモーションで上陸した「H&M」』ファッション販売2008年11月号
短期連載「チェーンストア衣料のVMD」第3回(最終回)『再編集運用の体系』販売革新2008年10月号
『「H&M」って何ですか』ファッション販売2008年10月号
『ここが違うよ日欧ファストファッション』WWDジャパン2008年8月25日号
短期連載「チェーンストア衣料のVMD」第2回『初期カセット編成/棚割設計』販売革新2008年9月号
短期連載「チェーンストア衣料のVMD」第1回『チェーンストアのVMDはロジスティクスVMDだ』販売革新2008年8月号
『衣料大恐慌にかく対策せよ』販売革新2008年8月号
『グローバルvs.ローカルの構図が強まるカジュアル市場』販売革新2008年7月号
『SC大異変にかく対応せよ』販売革新2008年7月号
『SPA化が進むアパレル業界と外国企業の参入』商工ジャーナル2008年6月号
『アウトレットブーム再来か』販売革新2008年5月号
『百貨店に決断の刻が迫る』繊研新聞2008年4月3日付掲載 第98回全国有力SCテナント調査2007冬商戦(11〜1月)
『ユニクロの幻影を捨てよ・・・ファーストSPAこそ本命』日経MJ 2008年3月31日付掲載
『GMS衣料部門はモール専門店にかく対抗せよ』販売革新2008年3月号
『SPAの進化/多様化と次世代の課題』SPAC20周年総括論文
『FB氷河期に備えよ』繊研新聞2008年1月9日付掲載/第97回全国有力SCテナント調査2007秋商戦(8〜10月)
『マルチライナーMDの勧め』ファッション販売2007年11月29日開催/第238回SPAC研究会レポート総括論文
『SC出店の最新状況』商業界2007年12月号
『日米百貨店市場の衰退と大手アパレルの事業再構築』東レ経営研究所「繊維トレンド」2007年11・12月号
『「三越・伊勢丹」統合へ 成否のカギ握る三越への「現場主義」浸透』週刊エコノミスト2007年9月4日号
『シニアアパレルの可能性を探る』販売革新2007年9月号
『ライフスタイルセンターの成功条件』商業界9月号/ライフスタイルセンター全研究特集
『流れは“等身大ライフスタイル”へ』繊研新聞2007年7月9日付掲載/第95回全国有力SCテナント調査2007春商戦(2〜4月)
『売上を創る営業的VMD』オリジナル原稿2007年6月
『最新SCを格付け評価する』販売革新2007年6月号
『GMS衣料部門の再建策を探る(後編)GMS衣料部門の生き残り条件』販売革新2007年5月号
『百貨店再編・統合の死角 巨大化で忍び寄る“没個性”の危機』週刊エコノミスト2007年5月15日号
『GMS衣料部門の再建策を探る(前編)GMSはもはや不要だ』販売革新2007年4月号
『チェーンストアにおける店長の役割』販売革新2007年3月号
『テナントから見た望ましいデベロッパー像』販売革新2007年2月号
『量販店衣料部門の抱える三つの課題・・・・ここに格差の要因がある』販売革新2007年1月号
『こんな「g.u.」は日本に不要です』販売革新11月号
小島健輔の経営塾12『ブランド再生の極意』ファッション販売2006年12月号
小島健輔の経営塾11『‘だれでもSPA’時代の成功要件』ファッション販売2006年11月号
『失敗しない秋冬衣料のMDストーリー』販売革新9月号
小島健輔の経営塾10『G.U.に見るビジネスモデルの本質』ファッション販売2006年10月号
『イオン vs.IY PBウォーズのその後』販売革新8月号
小島健輔の経営塾9『VMDの本質と運用を知る』ファッション販売2006年9月号
『SCテナント多角化の行方』販売革新7月号
小島健輔の経営塾8『賢い出店政策』ファッション販売2006年8月号
『イオン vs. IY PBウォーズを総括する』販売革新6月号
経営塾7『配分・補給/消化管理で利益を実現する』ファッション販売2006年7月号
経営塾6『開発・調達手法の組み合わせ』ファッション販売2006年6月号
経営塾5『商品構成を見直せ』ファッション販売2006年5月号
特別寄稿『モード回帰がビジネスモデルを変える』WWD Japan 4月10日付掲載
『量販店衣料部門に基幹戦略を問う』販売革新3月号
政策提言『コストアップの奔流に勝機を仕掛けよ』SPAC「NEW YEAR BIG CONVENTION」より
経営塾4『店を元気にする7つの魔法』ファッション販売2006年4月号
経営塾3『COOは三つの顔を持て』ファッション販売2006年3月号
『2006AWへのMD戦略』ファッション販売2006AW版MDディレクションより
経営塾2『イージス艦のごとき動態情報処理戦闘力を持て』ファッション販売2006年2月号
連載『小島健輔の経営塾1』ファッション販売2006年1月号
特集2006年、私はこれに取り組む『バブル消費に対応せよ』ファッション販売2006年1月号
『バナナ・リパブリックの日本上陸に何を学ぶか』ファッション販売2005年12月号
第88回全国有力SCテナント調査2005夏商戦『新潮流に商機を賭けよ』繊研新聞10月4日
『GMS衣料再生への処方箋“日米4強の衣料売場に戦略構図を見る”』販売革新10月号
『2006年度への経営課題』SPAC“ビッグコンベンション”レポートより
『2006SSへのMD戦略』ファッション販売2006SS版MDディレクションより
第87回全国有力SCテナント調査2005春商戦『不足の時代が新たなチャンスを開く』繊研新聞7月5日
『ローカル文化の風薫るイオン直方SC』ファッション販売2005年8月号巻頭カラー
『巨大SCが消費スタイルを一変させたイオン宮崎』ファッション販売2005年8月号巻頭カラー
『成功ビジネスモデルのトレンド』東レ経営研究所「繊維トレンド」No.52
『IY初のモール型SC“アリオ蘇我”を検証する』販売革新6月号
『NY/W.DCインプレッション “RUEHL”&“RUGBY”』オリジナルトピックス
『SC戦略の優劣と量販店の将来』販売革新4月号
『真のRSCエイジへの提言』オリジナル提言
『2005AWへのMD戦略』ファッション販売2005AW版MDディレクションより
百貨店への提言[下]『郊外RSC核百貨店はかく開発せよ』WWDジャパン2004年12月13日
『2005年のビジネスチャンス』ファッション販売2005年2月号
売上向上大作戦 【下】『売上向上への店頭在庫運用術』ファッション販売2004年12月号
『粋を尽くした通の贅沢空間 オペーク丸の内』ファッション販売2004年12月号巻頭カラー
『格調高くコンサバ路線でオープンしたバーニーズ・ニューヨーク銀座店』ファッション販売2004年12月号巻頭カラー
『アバクロの魅力』WWDジャパン2004年8月2日
『2005SSへのMD戦略』ファッション販売2005SS版MDディレクションより
『フラクサスは真のデパートメントストアを目指す』ファッション販売2004年月8号巻頭カラー
『フラクサスに賭けたワールドの成長戦略』ファッション販売2004年月8号
『SC出店で成功する秘訣』ファッション販売2004年月7号
『メガストアの新時代を開いた“フラクサス”』ファッション販売2004年月6号
『郊外RSCと都心に燃え上がるメガストア・ウォーズ』ファッション販売2004年月6号
『あなたも出来るブランディング』ファッション販売2004年月4号
『SC出店を再点検せよ』ファッション販売2004年月2号
『2004年の七大潮流』ファッション販売2004年月1号
『業態分割なくしては「ユニクロ」のV字回復はない』ファッション販売2004年月1号
『セレクト業界を震撼させたクラスストアへの変貌 -伊勢丹本店メンズ館-』ファッション販売2003年月12号
『伊勢丹本店メンズ館の大胆すぎるリモデル』ファッション販売2003年月12号
『クラスストア神話を目指すユナイテッドアローズの新創業』ファッション販売2003年月11号
『脱同質化へ “店格”向上の志を持って売場の技術革新を急げ』ファッション販売2003年月9号

[ 以前の論文バックナンバー一覧 はこちら]