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小島健輔の最新論文

商業界2007年12月号

『SC出店の最新状況』

(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔

過去最高の出店数を記録
 改正都市計画法施行を前にSCの駆け込み開発が続く中、株式公開専門店企業の総出店数は前期から32店増の756店と一段と加速。当社のSPACメンバー総出店数も前年を510店も上回る1302店と、90年の統計開始以来の最高値を更新した(07年8月末までの1年間。以下同)。一方で株式公開専門店企業の総退店数は287店と20店減少し、退店率は38.0%と4.4ポイント改善。SPACメンバーの総退店数も402店、退店率は30.9%と3年連続で改善し、統計史上最低値を更新した。
 とは言え、退店率は3年前の68%から出店の加速とともに急低下していったというのが実態で、過去15年という長期レンジの平均は6割強に達する。SC開発ラッシュが終わる09年以降、00年3月に導入された定期借家契約の満期明けラッシュも重なり、退店率は急速に悪化すると危惧される。ちなみにSPACメンバーの今期の退店事例でも、駅ビルでは6割強が定期借家契約満了による退店と報告されている。
 ※SPACは当社で主催する有力テナント企業(専門店とブランドビジネス)など93社が加盟する経営実務研究会。SPAC研究会の御紹介はこちら

最低保証付歩合/定期借家契約が主流に
 SPACメンバーの新規出店中、最低保証付歩合契約が7割強を占め、単純歩合契約は4分の1弱、完全固定契約は5%弱と例外的。最低保証付歩合契約は4年前の26%強から3年前の41%弱、2年前の50%弱、昨年の64%強と加速度的に増加し、今年は71%強と急速に主流化している。都心の駅ビルなどでは最低保証売上が月坪50万円を超えるケースもあり、端境月などで売上が落ちれば高率な家賃負担となってしまうから注意を要する。
 定期借家契約も大型商業施設の新規出店時には常識化しており、メンバーの今期出店事例でも9割近くが適用。4年前が54%弱、3年前が74%強、2年前が8割弱、昨年が83%強、今年が88%弱と急速に主流化している。既存店でも契約更新時に定期借家契約に切り替えるデベロッパーが多く、もはや旧借家契約は例外的となってきている。
 定期借家契約では満了時、デベロッパーの意向次第で退店を余儀無くされるが、適用率が100%近い駅ビルの契約期間が平均3.5年というのは内装除却損のリスクが指摘される。メンバーの出店事例でも、定期借家契約かつ期間3年以下という契約が4分の1以上を占めており、契約期間の交渉が重要と思われる。

保証金/敷金の反転上昇と内装費の均質化
 かつての駅ビルなどでは坪数百万円という時代もあったが90年代以降、急速に低下し、保証金/敷金という名目はともかく近年は家賃の10ヶ月分という水準に着地している。と言うことは、家賃が上昇に転じれば保証金/敷金も上昇する事になる。
 大都市の商業地価反騰を受け、駅ビル/ファッションビルはもちろん、郊外大型SCにまで家賃上昇が波及。昨年まで下がり続けて来た保証金/敷金も今年の新規出店事例では家賃に比例して上昇に転じ、平均で12.3%も上昇している。今後は地方都市のターミナル/ダウンタウン立地にも保証金/敷金の上昇が波及して行くと見られる。
 ここ数年、坪当り内装費の上昇が顕著で、今年もメンバー出店事例平均で坪当り43万円と前年から2.1%上昇した。家賃の10〜12ヶ月相当と言われてほぼ敷金に近似した負担となって来たが、最近は郊外SC店の内装費上昇が顕著で今年も15%強上昇し(平均39万円)、やや低下した駅ビル/ファッションビルの内装費(45万円強)と大差なくなった。郊外SC店の内装費上昇は、1)テナントバラエティ拡充による小箱化、2)販売員不足の深刻化による採用対策(かっこいい店でないと人が集まらない)、が主な要因と言われる。

不動産費率と絶対家賃水準
 売上予算との対比で不動産費率(家賃/共益費/共同販促費/内装償却費/金利の合計)を見ると、テナント店で最も低いのがアウトレットモールの18.3%、続いて郊外大型SCの19.4%(郊外小型SCは低販売効率で20.7%とかえって高コスト)。ダウンタウンのSCで最も低コストなのが駅ビルの19.5%で、ファッションビルの20.9%が続く。ダウンタウンのGMS核SCは21.1%と決して安くない。郊外大型SCと駅ビルは販売効率がほぼ倍違うが不動産費もほぼ倍違い、結果としての売上対比不動産費率はほとんど変わらない。
 これらはテナント出店のケースであり、歩率の高い百貨店インショップでは郊外店でも不動産費率は30%近く、ダウンタウン店では30%を大きく超えてしまう。付加価値をタップリ付けたブランドショップでない限り採算は採れないから、決して近付いてはならない。
 坪当り不動産費月額の絶対水準は販売効率の高い駅ビルが約78600円と最も高く、ファッションビルが約59000円で続く。ダウンタウンのGMS核SCが約55700円、意外と販売効率が高いアウトレットモールが約51400円。郊外大型SCは約39600円とほぼ4万円に達し、郊外小型SCは約30600円と3割方安いが、販売効率はそれ以上に低い。郊外大型SCもアップスケールして坪月4万円という時代になっており、それなりの販売効率が出せないと利益が望めなくなっている。
 この相場はデベロッパーの評価の高いSPACメンバーの平均値であり、一般のローカルテナントはこれより割高な水準を覚悟する必要があろう。

テナント企業のデベロッパー評価
 毎年、SPACメンバーに問うているデベロッパー評価だが、今年もイオンモールがトップで3年連続して首位を確保した(8月に合併したダイヤモンドシティは第5位)。ルミネが僅差で続き、ターミナル・デベでは3年連続してトップとなった。チェルシージャパンが続き、アウトレットモール分野首位の座を3年連続して守った。この御三家に続くのが東京圏駅ビル開発、ダイヤモンドシティ、三井不動産、東神開発、パルコ、小田急電鉄、森ビルで、ここまでがベスト10と評価された。
 逆に低評価だったのが、大和情報サービス、大和リース、ロック開発の大和系小商圏SCデベロッパー。平和堂、イトーヨーカ堂、ユニー、西友などの量販店系デベロッバー、双日商業開発も評価が低い。
 個別項目で見ると、立地ではイオンモール、チェルシー、東神開発、当然だがルミネと東京圏駅ビル開発が高評価。施設レイアウトではイオンモール、チェルシー、ダイヤモンドシティに加え、三井不動産とルミネも高評価。テナントミックスではルミネ、イオンモール、チェルシー、三井不動産、ダイヤモンドシティの順に高評価。日常のテナント運営についても、ルミネ、イオンモール、東京圏駅ビル開発、ダイヤモンドシティ、三井不動産の順に評価が高かった。
 これらの評価は各社が開発した個別SCの営業成績ともほぼ一致しており、実績が評価されたものと言えよう。逆に言えば、高評価デベロッパーの開発するSCは成功率が高いという事にもなろう。

08年開設予定大型SCの評価
 当社は過去十余年に渡って数百のSCを検証し、売上予測の精度を高めて来た。その最新手法と係数データに基づいて、来年度開設予定主要大型SCの売上と販売効率を予測。10月3日開催のSPAC月例会で発表した。評価の高かったSCは阪急西宮ガーデンズ、伊勢崎東部ショッピングモール、エアポートウォーク名古屋など。避けた方がよいSCは紙面では実名を上げかねる。



※誌名のないバックナンバーは「ファッション販売」です。

『日米百貨店市場の衰退と大手アパレルの事業再構築』東レ経営研究所「繊維トレンド」2007年11・12月号
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『シニアアパレルの可能性を探る』販売革新2007年9月号
『ライフスタイルセンターの成功条件』商業界9月号/ライフスタイルセンター全研究特集
『流れは“等身大ライフスタイル”へ』繊研新聞2007年7月9日付掲載/第95回全国有力SCテナント調査2007春商戦(2〜4月)
『売上を創る営業的VMD』オリジナル原稿2007年6月
『最新SCを格付け評価する』販売革新2007年6月号
『GMS衣料部門の再建策を探る(後編)GMS衣料部門の生き残り条件』販売革新2007年5月号
『百貨店再編・統合の死角 巨大化で忍び寄る“没個性”の危機』週刊エコノミスト2007年5月15日号
『GMS衣料部門の再建策を探る(前編)GMSはもはや不要だ』販売革新2007年4月号
『チェーンストアにおける店長の役割』販売革新2007年3月号
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