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小島健輔の最新論文

繊研新聞2007年7月9日付
第95回全国有力SCテナント調査2007春商戦(2〜4月)

『流れは“等身大ライフスタイル”へ』

(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔

伸び悩んだ春商戦
 今春商戦は景気拡大にもかかわらず伸び悩み、百貨店婦人服洋品は98.0、レディスブランド/ストアは99.4と冬商戦に続いて前年を割り、百貨店紳士服・洋品は100.6、メンズブランド/ストアも100.3とかろうじて水面に留まった。回復の目立つ百貨店紳士服・洋品を除いては冬商戦から横ばいで、昨春商戦からも減速した。夏商戦に入っては天候に恵まれ5月、6月、7月と尻上がりの活況が期待されるが、ボーナス商戦が終わって住民税大増税を実感すれば秋商戦に冷水がかかるのは必定だ。

好調ブランドが入れ替わったレディス
 全体の水準は冬商戦と大差ないものの中身は大きく入れ替わり、54ブランドが脱落する一方で52ブランドが好調組に加わった。ヤングカジュアルやミッシーの一角が回復、ストア型SPAは加速したものの、ワーキングガールとミセスは低迷を深めた。
 ヤングではナチュラルカジュアルやストリートカジュアルが堅調に加速したが、クリエイティブキャラクターなどが失速。「チャイルドウーマン」「プードゥドゥ」など8ブランドが好調組に加わる一方、脱落ブランドは2つに留まった。セクシーガールではストリートモードキャラクターが堅調に加速する一方、トレンド系とエレガンス系が失速。「シェルター」「ワンウェイ」「カパルア」など8ブランドが加わる一方、3ブランドが脱落した。ワーキングガールでは減速・失速するタイプが相次ぎ、「ダブルスタンダード・クロージング」「シャーロット・ロンソン」など7ブランドが加わる一方で6ブランドが脱落した。
 スポーツ&ジーニングは失速して2ブランドが脱落。インターナショナルクリエイターでは「ヴィヴィアン・ウエストウッド」が加わる一方で3ブランドが脱落。セレクトショップも減速し、6ブランドが脱落した。ストア型SPAではサーフカジュアルや自社ブランド編集ストアが好調に加速、ナチュラルカジュアルやカップルカジュアルも堅調に加速。「ビーチサウンド」や「ソウル・オブ・フリーダム」「ナチュラルクチュール」など、シングルライナーも加えて11ブランドが好調組に加わり、脱落は4ブランドに留まった。
 トランスキャリアではフェミニントラッドキャラクターが好調に加速したが、エレガンスモードキャラクターは失速。「サリースコット」など3ブランドが加わる一方で同数が脱落した。キャリアではフェミニンモードキャラクターが堅調に加速、クリエイティブキャリアも水面を回復し、「マルニ」など2ブランドが加わる一方で1ブランドが脱落した。
 ミッシーではナチュラルモードキャラクターが好調に加速、ナチュラルエレガンス系ストアも堅調に加速し、「アデュートリステス」など2ブランドが加わる一方、同数が脱落した。ミセスではエレガンスSPA、ロマンティックキャラクターは堅調に加速したが、減速・失速するタイプが多く、「ヒロコ・ビス」など2ブランドが加わる一方で10ブランドが脱落した。プレタでは「ヒロコ・コシノ」など2ブランドが加わる一方で4ブランドが脱落した。
 ラグジュアリープレタではエレガンスプレタが堅調に回復したもののオーセンティックプレタは水面まで減速、トレンドプレタは低迷を継続。「エトロ」など4ブランドが加わる一方で6ブランドが脱落した。ラグジュアリーグッズは堅調を継続、「ボッテガ・ヴェネタ」は絶好調を継続した。

セレクトショップが壁に当ったメンズ
 全体の水準は水面にへばりついたまま、14ブランドが好調組に加わる一方で16ブランドが脱落した。ヤングは水面に留まったまま、「コムサ・コミューン」「Xラージ」が加わって同数が脱落。ヤングアダルトは堅調に回復したが、「ランバン・オン・ブルー」など2ブランドが加わる一方で3ブランドが脱落。スポーツ&ジーニングは失速し、好調ブランドもなくなった(5月以降、スポーツキャラクターは急加速している)。
 コンテンポラリーは堅調に加速したが新たな好調ブランドはなく、1ブランドが脱落した。アダルトは水面を回復し、「ダージリンデイズ」など2ブランドが加わる一方で1ブランドが脱落した。ビジネスは失速し、好調ブランドは見られない。プレステージは堅調を継続し、好調ブランドの顔ぶれにも変化がなかった。
 ストア系は低迷を継続して好調ブランドがなくなる一方、SPAは堅調を加速してサーフカジュアルやカップルカジュアルで好調ブランドが続出。「ソウル・オブ・フリーダム」「ビーチサウンド」「パープル&イエロー」など6ブランドが加わる一方で3ブランドが脱落した。セレクトショップは総じて堅調を継続したが好調ブランドは「ビームス」「ビーバー」に限られ、4ブランドが脱落した。
 バリューや鮮度の格差が大きいレディスでは百貨店から駅ビルなどのセレクトショップへ流出が顕著だが、セレクトのメンズはバリューも鮮度も百貨店ブランドを突き放せておらず、百貨店からの流出がレディスほど顕著でない。それが百貨店紳士服の堅調に表れている。MD展開の鮮度など人気百貨店ブランドのほうが上手で、セレクトショップのトロいMD展開を突き放しているのが実情だ。セレクトのメンズは今、旧態な調達手法を脱する抜本的なMD進化を迫られている。

マーケットの風向きが変わった
 秋物展示会が一巡する一方で晩夏の打ち出しが出揃い、マーケットの変質が実感される。昨秋物から今春物まで席巻したモードシフトがマーケットに飽きられ、等身大のライフスタイル感覚が強まっているのだ。創り込んだシルエットやオーバーなディティール、小奇麗すぎる面が疎ましく思われ、ソフトコンシャスで自然なシルエット、控えたディティール、ナチュラルな面が心地よいという方向にマーケットの大勢は向きを変えたのかも知れない。にも係らず秋物展示会の多くはモードトレンドを追い続けており、マーケットとの乖離が懸念される。
 アラサーを狙って開発された新ブランドの多くがオーバートレンド・オーバーディティールで苦戦し、モードトレンド系ラグジュアリーブランドが低迷する一方、ライフスタイル感の強い本音服SPAの伸びが目立つ。後者を代表するのがヤング〜アラサーのナチュラル・レイヤード系、セクシーガールのネオ・ロコ系〜アラサーのサーフ・カップル系などで、価格もお手頃だ。モード・コンシャスなアラサーがトレンドリーダーという認識はマーケットの一部しか見ていないのではないか。
 モードとライフスタイル、トレンドと季節感はバランスの問題で、ブランド政策をモード一辺倒から等身大のライフスタイルへ、MD展開をトレンドから季節感へ、バランスを変えるタイミングなのかも知れない。

---レディスブランド/ストアの前年比×坪効率ポジショニングマップ---
(別ウィンドウが開きます)


※誌名のないバックナンバーは「ファッション販売」です。

『売上を創る営業的VMD』オリジナル原稿2007年6月
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