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小島健輔の最新論文

繊研新聞2008年1月9日付
第97回全国有力SCテナント調査2007秋商戦(8〜10月)

『FB氷河期に備えよ』

(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔

不振を極めた秋商戦
 今秋商戦は大増税による消費冷却に加えて戦後最暖という天候が災いし、百貨店婦人服洋品は96.4、紳士服・洋品は97.6、レディスブランド/ストアは98.2、メンズブランド/ストアは96.8と揃って不振を極めた。レディスではワンピースレイヤードの爆発でシーズンレス化が極まって秋物が吹っ飛び、冬商戦に入ってはレディス/メンズとも防寒アウターの勢いを欠き、景気の後退も加わって苦戦を継続している。

レイヤード対応と価格合理性が明暗を分けたレディス
 秋商戦では30ブランドが加わる一方で72ブランドも脱落し、好調組は夏商戦の六掛け強まで急減してしまった。ワーキングガールやトランスキャリア、キャリア、セレクトショップはほぼ総崩れとなり、ミッシーやミセス、プレタも落ち込んだが、ヤングカジュアル/セクシーガール/ストア型SPA/シングルライナー/ラグジュアリーグッズの一角は好調を継続した。
 ヤングは総じて低迷したが、モード系ストリートカジュアルとストリートキャラクターは好調を継続。「マジェスティック・レゴン」「ジーナシス」など5ブランドが好調組に加わる一方、11ブランドが脱落した。セクシーガールではコーストキャラクターとネイティブキャラクターが好調を継続。「カパルア」「ラブボート」など5ブランドが加わる一方、脱落は2ブランドに留まった。ワーキングガールは総崩れとなって好調タイプはモードミックスキャラクターに限られ、11ブランドが脱落する一方で新規の好調組は2ブランドに留まった。
 セレクトショップは低迷を深めて6ブランドが脱落し、新規の好調組は「リヴドロワ」のみに留まった。ストア型SPAは落ち込みが小さく、ナチュラルカジュアル系とサーフカジュアル系が好調を継続。「ピューレカーム・オンザカウチ」「スタジオ・クリップ」など6ブランドが加わる一方、8ブランドが脱落した。シングルライナーは堅調に減速して5ブランドが脱落。レッグウェアやドレスは好調を継続したが新たな好調組はなかった。クリエイターズは水面まで減速して4ブランドが脱落。「シンシア・ローリー」が加わるに留まった。
 トランスキャリアはフェミニントラッドも失速して総崩れとなり、5ブランドが脱落。キャリアはエレガンスモードキャラクターも失速して総崩れとなり、2ブランドが脱落。ミッシーもフェミニンエレガンスベーシックを除いて総崩れとなり2ブランドが脱落したが、新たに「7−IDコンセプト」「ルカ」が加わった。ミセスは落ち込みが軽微で堅調タイプも多かったが8ブランドが脱落し、新たに「センソユニコ」「イッセイミヤケ」が加わった。
 プレタも落ち込みが軽微で堅調タイプもあり、3ブランドが脱落する一方で「フォクシー」など3ブランドが加わった。ラグジュアリープレタは水面まで減速し、4ブランドが脱落する一方で「ジル・サンダー」が加わった。ラグジュアリーグッズは堅調に減速して1ブランドが脱落。宝飾系では「ショーメ」が好調に加速した。
 旧来のウェアリングを出ない割高な百貨店ブランドが苦戦する一方、旬のレイヤードに対応した価格合理性の高い駅ビル/SC系ブランドが善戦するという構図が顕著で、マーケットの構造変化を実感させた。

ライフスタイル提案と価格合理性が問われたメンズ
 SPAの一部は堅調〜好調、ヤング/コンテンポラリー/アダルト/プレステージはごく部分的に堅調だったが他は総じて低迷し、11ブランドが脱落する一方で14ブランドが好調組に加わった。
 ヤングは水面に留まったまま、「ワールドワイド・ラブ」など3ブランドが加わる一方で2ブランドが脱落した。ヤングアダルトではフレンチモードキャラクターが好調を継続、プレップカジュアルキャラクターは堅調を継続したが、他は総じて低迷。「ミッシェルクラン・オム」など2ブランドが加わる一方、1ブランドが脱落した。クリエーターは失速。スポーツ&ジーニングはキャラクタージーニングを除き低迷を継続し、好調ブランドが無くなった。
 コンテンポラリーではスタイリッシュキャラクターは堅調に加速したが他は一部を除いて低迷し、「スーク」「サビサビ・デラックス」が加わる一方で1ブランドが脱落した。アダルトは水面を継続し、新たに「ザ・スコッチハウス」が好調組に加わった。ビジネスは低迷を継続。プレステージは総じて減速したがコンサバエレガンスプレタは堅調に留まり、1ブランドが脱落する一方で「ロロピアーナ」「フェラガモ」が好調組に加わった。
 ストアは好調継続の「ムラサキスポーツ」、堅調に加速したクロージング編集を除き総じて低迷。SPAでは好調継続のサーフキャラクターに加えてカジュアルキャラクターやアウトドアカジュアルも堅調で、「ザ・スーパースーツストア」「パラスパレス」など4ブランドが加わる一方で同数が脱落した。セレクトショップは一部に堅調ブランドが見られるものの総じて低迷し、好調ブランドがなくなった。
 総じてモードトレンドや物のこだわりを追う割高なブランド/ストアが低迷し、ライフスタイルを提案する価格合理性の高いSPAが堅調〜好調という図式が顕著で、風向きの一変を実感させた。

氷河期に備えよ
 前門には度重なる大増税による消費冷却と価格抵抗、後門には原料高騰や中国産地の欧米シフトによる調達コスト増、身中には販売員不足と人件費高騰、加えて商業施設開設ラッシュによる食い合いの一方で家賃は高騰し定期借家契約満了による退店リスクが迫る、という四面楚歌が極まりつつある。景気後退でスタグフレーション局面に転ずる中、情況は悪化こそすれ緩和される見通しはまったくない。
 90年代以降のデフレ型ビジネスモデルが悉く崩れて行く中、冷えきった消費環境下ではインフレ型ビジネスモデルへの転換も難しく、ファッションビジネスは困難な選択を迫られている。ここは一旦、伸び切った戦線を整理して損益を改善し、長い冬を耐え抜ける筋肉質に体質転換するのが賢明な選択であろう。先が見えなくなったら一度、止まって考えるべきで、放慢な出血を続けていては再生困難な事態に陥ってしまう。
 将来の疑わしいコストの高い販路から撤収して成長性と収益性の見込める販路に戦力を集中し、スタグフレーション型ビジネスモデルへの転換を急がねばならない。不動産費や人件費など店舗小売コストの上昇を考えれば、ネットやケータイ、TVショッピングを活用したマルチメディア複合型ビジネスモデルがメジャーな選択となるのは必定だ。如何なる事業領域を選択して如何に調達・配分・販売消化のプロセスを組み損益を構築するか、過去の常識を逸脱してビジネスモデルの根幹から組み直す刻が来たようだ。

---レディスブランド/ストアの前年比×坪効率ポジショニングマップ---

※ブランドの詳細は『最新ゾーニングツリー(レディス/メンズ)』にて確認出来ます。


※誌名のないバックナンバーは「ファッション販売」です。

『マルチライナーMDの勧め』2007年11月29日開催/第238回SPAC研究会レポート総括論文
『SC出店の最新状況』商業界2007年12月号
『日米百貨店市場の衰退と大手アパレルの事業再構築』東レ経営研究所「繊維トレンド」2007年11・12月号
『「三越・伊勢丹」統合へ 成否のカギ握る三越への「現場主義」浸透』週刊エコノミスト2007年9月4日号
『シニアアパレルの可能性を探る』販売革新2007年9月号
『ライフスタイルセンターの成功条件』商業界9月号/ライフスタイルセンター全研究特集
『流れは“等身大ライフスタイル”へ』繊研新聞2007年7月9日付掲載/第95回全国有力SCテナント調査2007春商戦(2〜4月)
『売上を創る営業的VMD』オリジナル原稿2007年6月
『最新SCを格付け評価する』販売革新2007年6月号
『GMS衣料部門の再建策を探る(後編)GMS衣料部門の生き残り条件』販売革新2007年5月号
『百貨店再編・統合の死角 巨大化で忍び寄る“没個性”の危機』週刊エコノミスト2007年5月15日号
『GMS衣料部門の再建策を探る(前編)GMSはもはや不要だ』販売革新2007年4月号
『チェーンストアにおける店長の役割』販売革新2007年3月号
『テナントから見た望ましいデベロッパー像』販売革新2007年2月号
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小島健輔の経営塾12『ブランド再生の極意』2006年12月号
小島健輔の経営塾11『‘だれでもSPA’時代の成功要件』2006年11月号
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『イオン vs.IY PBウォーズのその後』販売革新8月号
小島健輔の経営塾9『VMDの本質と運用を知る』2006年9月号
『SCテナント多角化の行方』販売革新7月号
小島健輔の経営塾8『賢い出店政策』2006年8月号
『イオン vs. IY PBウォーズを総括する』販売革新6月号
経営塾7『配分・補給/消化管理で利益を実現する』2006年7月号
経営塾6『開発・調達手法の組み合わせ』2006年6月号
経営塾5『商品構成を見直せ』2006年5月号
特別寄稿『モード回帰がビジネスモデルを変える』WWD Japan 4月10日付掲載
『量販店衣料部門に基幹戦略を問う』販売革新3月号
政策提言『コストアップの奔流に勝機を仕掛けよ』SPAC「NEW YEAR BIG CONVENTION」より
経営塾4『店を元気にする7つの魔法』2006年4月号
経営塾3『COOは三つの顔を持て』2006年3月号
『2006AWへのMD戦略』2006AW版MDディレクションより
経営塾2『イージス艦のごとき動態情報処理戦闘力を持て』2006年2月号
連載『小島健輔の経営塾1』2006年1月号
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『2006年度への経営課題』SPAC“ビッグコンベンション”レポートより
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