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小島健輔の最新論文

繊研新聞2008年4月3日付
第98回全国有力SCテナント調査2007冬商戦(11〜1月)

『百貨店に決断の刻が迫る』

(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔

不振を継続した冬商戦
 今冬商戦は景気後退下の価格意識の高まりにレディスではレイヤードの拡大も加わり、百貨店婦人服洋品は97.5、レディスブランド/ストアは99.1、紳士服・洋品は98.1、メンズブランド/ストアは97.8と揃って秋商戦来の不振を継続した。春商戦に入っては温度進行がズレ込む反面でボヘミアン/ヒッピーなどのレイヤードが盛り上がってシーズン感だけが先行し、春物がふっ飛んで駅ビルなどでは早くも晩夏物が店頭に並ぶ情況だ。古典的なウェアリングと前年のシーズン進行に囚われた百貨店はひとシーズンも出遅れ、駅ビル/ファッションビルと較べれば残品売場の情況を呈している。

レディスの明暗を分けたレイヤード対応
 冬商戦では41ブランドが好調組に加わる一方で26ブランドが脱落し、秋商戦からは回復したものの夏商戦の4分の3に留まった。セクシーガールは堅調を継続。ヤングカジュアル、セレクト、キャリア、ミッシーは水面を回復、プレタ、ストア型SPAは水面を継続したが、ラグジュアリーグッズは水面に減速、ラグジュアリープレタは失速、ワーキングガール、トランスキャリア、ミセスは低迷を継続した。
 ヤングではクリエイティブキャラクターが失速したがナチュラルカジュアルとストリートカジュアルは堅調に加速し、「プードゥドゥ」「ギャミヌリィ」など7ブランドが好調組に加わった。セクシーガールではネイティブ系/コースト系の好調継続に加えてトレンドキャラクター、エレガンスキャラクターも加速し、「ナバーナ」「バイバイ」など4ブランドが加わった。ワーキングガールではナチュラルモード系ブランドやキュートエレガンス系ストアが加速し、「スマッキーグラム」「ロディスポット」など9ブランドが加わる一方で3ブランドが脱落した。
 セレクトショップは堅調に浮上し、「フリーズショップ」「エリオポール」が加わる一方で1ブランドが脱落した。ストア型SPAではペットキャラクターが急浮上、ファミリーキャラクターが加速し、「チャオパニック・ティピー」「トミーヒルフィガー」など5ブランドが加わる一方で同数が脱落した。シングルライナーとクリエイターズ、トランスキャリアは変化に乏しかった。
 キャリアでは「ア・プライマリー」など2ブランドが好調組に加わり、ミッシーでは一部で回復が見られたものの3ブランドが脱落した。ミセスでは「ギャバジンKT」「コルニーチェ」など4ブランドが加わる一方、3ブランドが脱落した。プレタでは「ハロッズ」など3ブランドが加わる一方で2ブランドが脱落。ラグジュアリープレタでは「プラダ」「フェンディ」が加わる一方で1ブランドが脱落。ラグジュアリーグッズでは2ブランドが脱落した。
 総じて秋商戦の構図が継続して変化に乏しく、価格合理性とレイヤードへの対応が明暗を分けた。春商戦に入ってはレイヤードの加速がもたらすシーズン感と気温のギャップが激しく、先行する駅ビル/ファッションビルと百貨店の季節対応格差が開いている。

秋商戦の構図を継続したメンズ
 総じて秋商戦からは回復したが、10ブランドが好調組に加わる一方で12ブランドが脱落。ヤングは失速して1ブランドが脱落。ヤングアダルトは低迷を継続し、「プリッグス」が加わる一方で2ブランドが脱落した。クリエーターは低迷を継続して1ブランドが脱落。スポーツ&ジーニングは水面を回復し、「トミー・ヒルフィガー」の好調が目立った。コンテンポラリーは水面を継続したが、2ブランドが脱落。アダルトは堅調に加速し、「アラミス」「アレグリ」が好調組に加わった。ビジネスは水面まで回復。プレステージは堅調に加速したが、「チェスターバリー」「エトロ」が好調組に加わる一方で2ブランドが脱落した。
 ストアは低迷を継続。SPAも水面まで減速し、「CCM」など2ブランドが加わる一方で4ブランドが脱落した。セレクトショップは水面まで回復し、「ルイス」など2ブランドが好調組に加わった。
 例外はあるものの総じてアダカジ、サーフ、プレップ、スポーツの明、モードの暗という秋商戦の構図が継続し、新たな動きに乏しかった。春商戦に入っても基本的な構図は変わっておらず、レイヤードに振り回されるレディスよりは堅調な動きを見せている。

百貨店と百貨店アパレルに決断の刻
 百貨店の高歩率がもたらす割高感から駅ビル/SCへの顧客流失が加速しており、百貨店主体ブランドとSC主体ブランドの前比格差が拡がっている。このままでは遠からず百貨店のOLフロアは消滅し、やがてはトランスキャリアまで放棄せざるを得なくなる。大仕掛けのリモデルもバリュー競争力の回復には繋がらず、メンズはともかくレディスは悉く空振りに終わっているのが実情だ。高コスト高歩率体質を抜本から変革しない限り百貨店はチャネル間のバリュー競争に敗れ、ジリジリと衰退せざるを得ない。企業統合によるコストダウンが収益性を向上させてもバリュー競争力の回復には繋がらず、売上低下には歯止めが掛からない。
 効果的な打開策はただひとつ。バリュー感に優る駅ビル系ブランドを大量導入すれば競争力が回復して百貨店は一気に活気づくはずで、既に伊勢丹などは部分的ながら導入を進めているが、大量導入して定着させるには駅ビル並みの低歩率を実現する必要がある。それにはSC方式のテナント管理レジシステムを導入して自前のキャッシャー/サッカー/金銭管理組織を一掃し、一気にコストを圧縮するしか方法がない。それでも顧客情報管理と売上情報管理は十分に可能だ。その一方でOEM調達/別注調達(部分的なセレクト調達も含む)による自主売場を拡充して行けば、差別化と高収益化も実現出来る。マーチャンダイジングの主導権を最低限、維持しつつ急激にコストを圧縮するには、他の選択は見い出し難い。それで百貨店の未来が開くなら、決断と実行あるのみではないか。
 かつて低歩率のラグジュアリーブランドが大量導入されて行ったように駅ビル系ブランドが大量導入されて行けば、割を食らうのは百貨店NBだ。高歩率負担で割高感は避けられず、駅ビル系ブランドと比較されれば売上低下はさらに加速する。となれば百貨店アパレルも駅ビル/SCシフトを一段と加速するしかなく、やがては百貨店NBというジャンルそのものが消滅する事になる。百貨店も百貨店アパレルも決断の刻を迎えたのではないか。

---レディスブランド/ストアの前年比×坪効率ポジショニングマップ---

※ブランドの詳細は『最新ゾーニングツリー(レディス/メンズ)』にて確認出来ます。


※誌名のないバックナンバーは「ファッション販売」です。

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