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小島健輔の最新論文

繊研新聞コラム2009年8月24日/25日掲載

『ブランド再生へのルービックキューブ』

(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔

ビジネスモデルのルービックキューブ
 業績が低迷するブランドの再生を仕組む時、企画エンジンを替えてターゲットや価格を見直す事が多いと思いますが、成長性と収益性を構造的に確保しキャッシュフローと業務プロセスを高速化しない限り業績の抜本改善は望み難いのが現実です。それをきちんと仕組まないまま企画やターゲットを右往左往するとブランドのポジションが顧客に見えなくなり、一時的に浮揚したとしても結局は一段と落ち込んでしまうリスクが指摘されます。
 どうしたら成長性と収益性を確保しキャッシュフローと業務プロセスの高速化が可能か、1)ターゲットやマーケットポジション、2)販売チャネルや展開立地と決済手法、3)商品の開発・調達手法と企画エンジン、の組み合わせをルービックキューブを回すように検討してみるのです。
 まず最初に変えるものと変えないものを見極めなければなりません。そのブランドが築き上げて来たイメージや顧客、チャネルや開発背景のうち、変わらぬ強みとして残すべきものをきちんと認識した上で、何を変えるべきか突破口を探します。成長性や収益性、キャッシュフローの足枷となっている要件をどう排除すべきか、三面のキューブを回して適切な組み合わせを探すのです。
 足枷となっている要件は販売チャネルがもっとも多く、卸しではキャッシュフローと業務プロセスが低速を強いられ、百貨店では歩率負担と売上減少に苦しめられているのが実情でしょう。前者では企画サイクルを増やしてメール配信によるネット受注やカード決済を活用すればキャッシュフローの大幅な改善が望めますが、自社貫徹の商品開発体制では企画サイクルの加速に対応出来ませんから、企画チームのダブルシフトを組むか部分的にアウトソーシングを活用する事になるでしょう。後者では歩率負担の軽い駅ビル/ファッションビルへの脱出以外に解決策は無く(百貨店はブランドの墓場です!)、チャネルシフトに伴うターゲットと価格の変更、企画サイクルの加速と企画エンジンの変更が不可避となります。
 駅ビル/ファッションビルなど販売チャネルには成長性と収益性がある(家賃負担が軽い)のに業績が低迷している場合、突破口となるのは価格とスピードです。周辺の価格水準低下に相応する低価格化とファストな市場対応を実現するには商品の開発・調達手法の変更が不可避で、速くて味も出せるODMを活用するのが確実ですが、自社開発にこだわるなら企画チームのダブルシフトを組んでスピードを確保すべきでしょう。
 企画エンジンの市場マッチングはどの場合でも検討しなければなりません。長射程のスローな開発ならデザイナーを軸とする古典的な自社完結体制も可能でしょうが、ファストな市場対応を求めるならカリスマ販売員や読者モデル、ギャルプロデューサーなどの顧客代表を軸に社内の開発チームや外部のODM業者を高速稼動する体制が求められます。

スピードとリズムが成功の鍵
 どのような組み合わせを選択するにせよ市場対応とキャッシュフローの高速化は経営改善の必須要件ですから、企画・開発の多サイクル化と高速化、それに対応する業務プロセスのリズムが不可欠です。適確な組み合わせを選択しないと多サイクル化と高速化が業務プロセスの混乱を招き、労務問題や納期遅れなど様々なトラブルを招きます。店頭投入から逆算して社内外の開発業務〜ディストリビューション業務を定型化/ル−チン化して業務プロセスのリズムを確立すれば、仕事もキャッシュフローも順調に流れてすべてが上手く回るようになるのです。
 ビジネスモデルは市場とのマッチングも当然ですが、業務のスピードとリズムこそ成功の鍵だと思います。ブランドの再生を仕組む時、ビジネスモデルを動態的に捉えてスピードとリズムを追求すべきでしょう。




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