『SPAの進化/多様化と次世代の課題』
(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔
SPAは小売業者がオリジナル・レーベルによって、あるいはブランドメーカーが直営店展開によって、それぞれ独自のブランディングと収益構造を実現せんとする両面のアプローチから進化して来ましたが、今日では調達手法も販売手法も多様化して実に様々なビジネスモデルが華開いています。OEM業者のフルサービス化(AMS=apparel manufacturing service)とメジャー化によってオリジナル・レーベルの開発が飛躍的に容易になり小売業者のSPA化が一般的なものとなる一方、ブランドメーカーでも開発固定費の圧縮や機動的な販売動向対応を狙ってOEMを活用したり、リミックス感を狙ってセレクト商品を加えたりするケースが増え、小売業者とブランドメーカーの際は事実上、崩壊してしまいました。
店舗立地も百貨店や駅ビル/ファッションビルから郊外SCまで拡がって消費者の選択枝が増え、チャネル間のコスト差がもたらす価格合理性の格差が顕著な消費移動を招いています。百貨店から駅ビル/ファッションビルそして郊外SCへという消費移動はもはや止め難い潮流となり、百貨店の領域は急速に縮小しつつあります。販売メディアもデジタル進化によってパソコンやケータイ、TVと多様化し、店舗小売コスト上昇と販売員不足も加わって無店舗メディアと店舗の相乗を仕組む事が一般的になりつつあります。
エポックメイキングなビジネスモデルも80年代の直営店型DCブランドのSPA化モデルに始まり、90年代中期のQR型キャラクターSPAのオゾック・モデルやその進化形たるアンタイトル・モデル、開発素材軸でQRするフランドル・モデルなど、90年代までは百貨店やファッションビルを主戦場とするブランド型SPAが主流でした。90年代末期のユニクロ現象を境に価格合理性を訴求するストア型SPAが台頭し、世紀の変わり目頃から郊外SCでメジャー化したファミリーコモディティSPAモデル、ファッションビルから郊外SCまで急速に一般化したカジュアルSPAモデル、近年の自社ブランド複合編集型SPAモデルやセレクトSPAモデルと、今世紀に入っては郊外SCやファッションビルを主戦場とするストア型SPAが主流となりました。加えて、最近ではコレクション・イベントを起点にパソコン/ケータイで受注して店舗販売と相乗させるゼイヴェル・モデルなどメディア・ミックス型も注目されています。
流通素材とOEM丸投げに依存するお手軽なファーストSPAモデルでもニッチな市場は捉えられますが、メジャーな市場を制圧するにはバリューで突出するインダストリアルなSPAモデルが問われます。逆に言えば、インダストリアルなSPAは大仕掛けになってメジャーな市場を必要とする一方、ファーストSPAは手軽な仕掛けで機敏にニッチ市場に対応出来ます。OEM依存のファーストSPAにせよ素材開発から仕掛けるインダストリアルSPAにせよ一長一短があり、狙うマーケットの特性と規模に応じて両者の利点を組み合わせた多様なSPAが市場を分け合えばよいと思います。
今後、景気後退と増税による消費冷却、等身大ライフスタイル志向とレイヤード化によるファッション消費の減退は避けられず、モードトレンドやデザイン性による消費喚起は今以上に困難になっていくでしょう。その現実を直視するなら、モードトレンド発信に片寄る事なく顧客のローカルな実像を見据えてウェアリング変化に機敏に対応するとともに、月度/週度のMD展開と消化促進運用の精度、価格合理性を高めて行く事が不可欠と思われます。それには企画・投入の多サイクル化と適確な在庫再編集運用、引き付けた製品化の一方で主力素材は先行して開発・調達しなければなりません。このギャップを解決してオン・デマンドな製品化・販売消化とバリュー競争力を両立させるのが、次世代SPAビジネスモデルの課題なのではないでしょうか。オン・デマンドな販売消化という面では、店舗小売の枠を超えたメディア・ミックス活用が当然の選択となるでしょう。









