ブランドの業態分類とブランドミックス
(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔
第二層を担うのが、デザイナーは抱えても開発や生産管理はアウトソーシングする事が多いマーチャンダイザー主導のMD型キャラクターブランドだ。開発期間は3〜4ヶ月と中射程で、年間企画サイクルは8〜10回程度。モデレート価格で、オリジナル企画ながらマーケット・インも意識した中間企画組に位置づけられる。
第三層を担うのが、デザイナーを抱えずバイヤーがODM業者の企画提案を引きつけて仕入れるファスト型ブランドだ。開発期間は4〜8週と短く、年間企画サイクルは12回以上。価格は最も手頃で、後出しジャンケンでマーケット・インする後発企画組に位置付けられる。
自社開発型キャラクターブランドばかりではマーケットと乖離するリスクがあり、価格の高さもあって客層の広がりも限界がある。ファスト型ブランドばかりでは後出しのコピー商品が氾濫し、同質化と値崩れが避けられない。MD型キャラクターブランドは両者の中間にあって独自のマーケットを捉え、両極の欠点を補う事が期待される。この三層のバランスがとれていれば館の人気が高まって売上が伸びるが、自社開発型に偏れば顧客層が広がらず、ファスト型に偏れば値崩れして売上が低下し、やがては人気も離散してしまう。
現状の商業施設を位置付けるなら、渋谷109は自社開発型やMD型の新手キャラクターブランドが限られる中、ファスト型ブランドばかりが増えて同質化と値崩れが蔓延し、人気が離散して末期状態に陥っていると見る。ルミネエストは三層のバランスがとれて人気が頂点に達した後、さらなる客層の広がりを狙ってファスト型ブランドを増やし過ぎ、単価が落ちて頭打ち気味と見る。新宿ルミネはテナントの鮮度は気になるものの大きくバランスを崩す事なく安定しており、アミュプラザ博多も手堅くルミネ型のバランスを踏襲している。大阪駅のルクアは尖ったローカルブランドや新手の雑貨ブランドも揃え、自社開発型とMD型の比重を高めた意欲的な構成が注目される。
ワンブランド型ばかりではテイストのバラエティが限られ、リミックスも欠いて平板な構成になりがちだから、自社ブランド複合型や自社ブランド軸編集型を組み合わせてバラエティとリミックス感を出す必要がある。自社ブランド複合型は巧みにテイスト編集すればリミックスの楽しさが出るが、ブランド揃えの域を出ない大味な構成に終わるケースも多々見られる。自社ブランド軸編集型はブランド単体よりテイストに巾が出てリミックスも楽しくなるが、下手な編集でブランドのテイストが暈けただけという失敗もある。
保守的な客層の館では手堅くワンブランド型中心の構成にして自社ブランド複合型や自社ブランド軸編集型は鏤める程度に留めるのが無難だが、お洒落好きなヤングやOLの多い館では自社ブランド軸編集型を主体にワンブランド型や自社ブランド複合型を加えるという逆転構成が良い結果をもたらしている。長期的な推移を見ても、ワンブランド型主体からセレクトSPAを含めた自社ブランド軸編集型主体への移行が加速しており、マーケットはワンブランドのまとまりよりリミックスの楽しさを志向しているように見える。
ブランドショップはオリジナル企画をMDテクで水増しせずに原液のまま提供するもの、SPAはオリジナル企画をディティールやカラー、サイズなど様々なMD軸で水増ししてお手頃に提供するもの、という区分けが要だと思われるが、近年はマーケット・インなMD展開で水増しするブランドショップも多く、両者の境が曖昧になっていた。商業施設のブランドミックスに当たる目利きは三層分類と編集手法による三分類に加え、こんな境目も厳格に見分けて欲しい。










